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最高裁判所大法廷 昭和32年(ク)115号 決定 1958年7月10日

主文

本件抗告を棄却する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

抗告理由前段について。

憲法七七条は「最高裁判所は、訴訟に関する手続、……に関する事項について、規則を定める権限を有する。」と規定しており、上告理由書提出期間は右にいう訴訟に関する手続たる事項であることは論議を要しない。したがつて右の事項を定めた民訴規則五〇条は右権限内の規定であるばかりでなく、一面右規則五〇条は直接には民訴三九八条一項の規定によつて規則に任されたものであるから、右規則五〇条は合憲の規定である。されば同条に則つてなされた原決定は所論憲法の条項に反するものではなく論旨は理由がない。

抗告理由後段について。

上告理由書の提出が、民訴三九八条、民訴規則五〇条の定める期間を経過して提出された場合、これを右期間経過後に追完を許し得る旨の規定は存せず、この場合原審裁判所は民訴三九九条により上告を却下すべきものである。さればこれに則つてなした原審決定は正当である。所論は憲法違反をいうが、その実質は民訴三九九条に関し独自の解釈を主張するに過ぎないものであつて、特別抗告適法の理由とならない。

よつて、裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 田中耕太郎 裁判官 小谷勝重 裁判官 島 保 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 藤田八郎 裁判官 河村又介 裁判官 入江俊郎 裁判官 垂水克己 裁判官 河村大助 裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 奥野健一)

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